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【第7回】D&I(多様性と包摂)で差をつける採用ブランディング

2025年、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)は「やった方がいい」から「やらないと選ばれない」時代へ。多様性を受け入れる企業文化こそが、最強の採用ブランディング武器になります。

なぜ今、D&Iが採用ブランディングの鍵なのか?

📊 2025年の求職者意識調査データ

転職先選択で重視する要素(複数回答・2025年調査)

  1. 給与・待遇:67.8%
  2. 多様性を尊重する企業文化:58.4%(前年比+12.3%)
  3. ワークライフバランス:54.7%
  4. 女性活躍・育児支援制度:49.2%(前年比+8.7%)
  5. 成長機会・キャリアパス:45.9%

世代別D&I重視度

  • Z世代(20-25歳):74.2%が重視
  • ミレニアル世代(26-35歳):61.8%が重視
  • X世代(36-45歳):45.3%が重視
  • ベビーブーマー世代(46歳以上):32.7%が重視

🎯 D&Iが採用に与える3つのインパクト

1. 優秀な人材の母集団拡大

従来の「標準的な候補者」以外からも採用可能

2. 企業イメージの向上

「時代に合った進歩的な会社」としてのブランディング

3. 既存社員の満足度向上

多様性を受け入れる環境で働くことへの誇り・安心感

中小企業だからこそできる!D&Iブランディング戦略

💪 大手企業に負けない「本質的D&I」の実現

大手企業のD&I vs 中小企業のD&I

大手企業の現実

  • 制度は整っているが現場の理解が追いつかない
  • 数値目標達成が優先され、形骸化しやすい
  • 組織が大きすぎて個別対応が困難
  • 変化のスピードが遅い

中小企業の強み

  • 経営者の意思決定で迅速な環境整備
  • 一人ひとりに寄り添ったサポート可能
  • フラットな組織で相談・提案しやすい
  • 試行錯誤しながら最適解を見つけられる

🌈 4つの多様性軸でのブランディング戦略

①女性活躍推進ブランディング

👩 現実的な女性活躍支援制度

ライフステージ対応の充実

妊娠・出産サポート

【制度面】
・産前産後休暇:法定以上の期間設定
・育児休業:最大○年取得可能(男性も同様)
・復帰時短勤務:小学校卒業まで選択可
・子の看護休暇:有給での取得可能

【環境面】  
・妊娠中の体調に配慮したデスクワーク調整
・つわり等での急な休暇・早退対応
・復帰前の職場復帰プログラム実施
・保育園送迎に配慮したフレックス制度

キャリア継続支援

【スキル維持・向上】
・育休中のeラーニング受講支援
・業界情報・社内情報の定期配信
・復帰前研修・キャッチアップ支援
・在宅勤務でのプロジェクト参加機会

【昇進・昇格機会の確保】
・育児期間も評価対象として継続  
・時短勤務でも責任ある業務を担当
・管理職登用での女性比率目標設定
・ロールモデルとなる女性管理職育成

効果的な訴求方法

数値での実績アピール

・女性社員比率:○○%(業界平均○○%を上回り)
・育休取得率:女性100%・男性○○%
・育休復帰率:○○%(全国平均○○%を大幅上回り)
・女性管理職比率:○○%(○年で○倍に増加)
・平均勤続年数:女性○○年(男性と同等水準)

具体的な成功事例

【事例】田中さん(32歳・営業職)
・第一子出産で1年間育休取得
・復帰後は時短勤務でも営業成績トップクラス維持  
・第二子出産後も継続勤務
・現在はチームリーダーとして後輩指導
・「この会社だからキャリアと育児を両立できた」

②シニア世代活用ブランディング

👴👵 経験値を活かすシニア採用戦略

シニア世代の強みを活用

シニア世代に期待する役割

【経験・スキル活用】
・長年の業界経験による顧客対応力
・専門技術・ノウハウの後進指導  
・トラブル対応・問題解決能力
・取引先・業界ネットワークの活用

【組織運営面】
・若手社員のメンター役割
・組織の安定・落ち着きをもたらす効果
・ワークライフバランスの見本となる働き方
・多様な価値観の受容・調整役

シニア世代が働きやすい環境整備

労働条件の柔軟性

・勤務時間:フルタイム・パートタイム選択可
・勤務日数:週3-5日から選択可能
・業務内容:体力的負担を考慮した調整
・勤務形態:在宅・出社のハイブリッド可

健康・安全面への配慮

・定期健康診断の充実(人間ドック補助)
・職場環境の改善(照明・温度・椅子等)
・長時間労働の防止・適切な休憩確保
・通勤負担軽減(駐車場確保・交通費支給)

効果的な訴求ポイント

「人生経験豊富な方大歓迎」メッセージ

・「○○年の経験を活かしませんか?」
・「若い会社に安定感をもたらしてください」  
・「あなたの知識・技術を次世代に継承を」
・「無理のないペースで長く働ける環境です」

③外国人材採用ブランディング

🌍 グローバル人材との共働環境

外国人材が働きやすい環境整備

言語・コミュニケーション支援

【社内体制】
・日本語学習支援制度(受講費用会社負担)
・多言語対応の業務マニュアル整備
・翻訳ツール・アプリの活用推進
・外国人材専任サポートスタッフ配置

【文化理解促進】
・異文化理解研修の全社実施  
・宗教・習慣への配慮(祈祷時間・食事制限等)
・母国の祝日・イベントへの理解・参加
・日本文化体験イベントの開催

キャリア発展の機会提供

【専門性向上】  
・日本の業界知識・商習慣の教育
・資格取得支援(業務に関連するもの)
・国際的な視点を活かせるプロジェクト参加
・母国との橋渡し役としての活躍機会

【将来設計サポート】
・永住権・帰化申請のサポート
・家族の来日・生活支援  
・本国帰国時のネットワーク維持
・グローバル展開時のキーパーソン登用

多文化共生の価値をアピール

組織全体への好影響を訴求

・多様な視点による創造性・イノベーション向上
・語学力向上・国際感覚の醸成効果
・グローバル展開への基盤構築
・若手社員の刺激・成長機会創出

④障がい者雇用・インクルーシブ環境

♿ 真の共生社会実現への取り組み

合理的配慮の具体化

物理的環境の整備

・バリアフリー設備の導入  
・車椅子対応デスク・トイレ設備
・視覚障がい対応(点字表示・音声案内)
・聴覚障がい対応(筆談ボード・手話通訳)

業務環境の調整

・個人の障がい特性に応じた業務内容調整
・勤務時間・休憩時間の柔軟な設定
・通院・リハビリ時間の確保配慮  
・支援技術・補助具の導入支援

心理的安全性の確保

・障がい理解研修の全社実施
・偏見・差別防止の徹底教育  
・相談窓口・サポート体制の整備
・成功体験・貢献を積極的に評価・共有

D&Iブランディングの効果的な発信方法

📱 SNS・Webでの多様性アピール

ビジュアルでの多様性表現

写真・動画での多様性演出

【社員紹介写真】
・年齢・性別・国籍の多様な社員を均等に掲載
・車椅子利用者・外国人社員も自然に登場
・様々なライフステージの社員(独身・既婚・育児中・介護中)

【職場風景動画】
・多様なメンバーが協働している場面
・バリアフリー設備が自然に映り込む構成
・多言語での会話・コミュニケーション風景
・年齢を問わず活躍している様子

メッセージ・コピーでの価値観表現

D&I重視のキャッチコピー例

✅ 「違いを力に、みんなで創る未来」
✅ 「年齢も性別も関係ない。あなたの力を待っています」  
✅ 「多様性が生む、無限の可能性」
✅ 「一人ひとりが輝ける、そんな会社でありたい」
✅ 「バリアフリーな心で、すべての人にチャンスを」

NGなメッセージ例

❌ 「女性にも働きやすい職場です」(上から目線)
❌ 「高齢者でも簡単にできる仕事」(能力を軽視)
❌ 「外国人の方でも大丈夫」(特別扱い感)  
❌ 「障がいがあっても頑張れば」(頑張り論の押し付け)

🏆 具体的な制度・取り組み事例の紹介

成功事例のストーリー化

多様性活用の成功パターン

事例1:シニア×若手のコラボレーション

【背景】
・新規事業立ち上げで若手チームが苦戦
・業界経験豊富なシニア社員をアドバイザーに起用

【プロセス】
・月2回のメンタリング・相談会実施
・シニア社員の人脈・ネットワーク活用
・若手の新しいアイデア×シニアの実行力

【結果】
・新規事業が計画より6ヶ月早く黒字化
・若手社員のスキル・経験値が飛躍的向上
・シニア社員も新しい学び・やりがいを実感

事例2:外国人材による業務改善

【背景】  
・従来の業務フローに非効率な部分が存在
・外国人社員が客観的な視点で課題を指摘

【プロセス】
・「なぜ?」を大切にする文化の醸成
・外国人社員の改善提案を積極採用
・全社員での改善アイデア討議・実装

【結果】
・業務効率が30%向上、残業時間削減
・多様な視点による創造性・イノベーション創出
・全社員の改善意識・当事者意識向上

事例3:育児中女性社員のリモートワーク活用

【背景】
・優秀な女性社員が育児で時短勤務・制約多い
・リモートワーク制度で働き方を柔軟化

【プロセス】
・在宅勤務環境の整備支援(PC・ネット回線提供)
・オンラインでの会議・コミュニケーション促進
・成果重視の評価制度への移行

【結果】  
・育児と仕事の両立でストレス大幅軽減
・集中できる環境で生産性向上
・他の社員にも良い影響、制度利用者拡大

D&I推進の段階的アプローチ

🚀 Phase 1:基盤作り(0-6ヶ月)

現状分析・課題整理

組織の多様性診断

□ 現在の社員構成(年齢・性別・国籍・勤続年数等)
□ 採用実績の多様性(過去3年間の傾向分析)  
□ 離職理由の多様性関連要因(ハラスメント・差別等)
□ 社内制度の多様性対応度(育児・介護・宗教等)

社員意識調査の実施

・多様性に対する理解度・関心度
・現在の職場環境での不満・改善要望
・多様な同僚との協働経験・意識  
・D&I推進への期待・不安

経営層・管理職のコミットメント確保

D&Iビジョン・方針の策定

【企業としてのD&I方針】
・なぜD&Iを推進するのか(理念・目的)
・目指す組織・文化の姿(ビジョン)
・具体的な取り組み内容(アクションプラン)  
・成果指標・目標数値(KPI設定)

🌱 Phase 2:制度整備(6ヶ月-1年)

優先順位をつけた制度導入

緊急度・重要度マトリックスでの整理

【高緊急×高重要】
・ハラスメント防止・相談窓口整備
・基本的な合理的配慮(バリアフリー等)
・育児・介護支援制度の充実

【低緊急×高重要】  
・多様な働き方制度(フレックス・リモート)
・キャリア開発・教育制度の拡充
・評価制度の公平性確保

【高緊急×低重要】
・見た目の多様性向上(写真・広報素材)  
・制度の周知・広報活動
・外部向けのD&Iアピール

【低緊急×低重要】
・理想的な制度の検討・将来計画
・他社事例研究・ベンチマーク
・長期的なビジョン策定

🎯 Phase 3:文化浸透(1-2年)

全社員の意識変革

D&I研修・教育プログラム

【全社員向け基礎研修】
・無意識バイアスの理解・対処法
・多様性の価値・メリットの理解
・インクルーシブなコミュニケーション方法
・ハラスメント防止・適切な対応方法

【管理職向け専門研修】  
・多様なメンバーのマネジメント手法
・公正な評価・人事制度の運用
・合理的配慮の提供・相談対応
・チームビルディング・関係構築

日常業務でのD&I実践

・会議での発言機会の平等確保
・プロジェクトメンバーの多様性考慮
・メンター・指導者のペアリング工夫  
・イベント・懇親会の多様性配慮

よくある失敗パターンと回避策

❌ 失敗パターン1:「見た目だけのD&I」

ダメな例

  • 採用サイトに多様な写真を使うだけ
  • 制度は作ったが運用が伴わない
  • 数値目標達成のみに焦点

✅ 改善策

  • 実際の働きやすさ・制度活用実績を重視
  • 社員の生の声・体験談を中心とした発信
  • 継続的な改善・アップデートの仕組み構築

❌ 失敗パターン2:「逆差別」の発生

ダメな例

  • 多様性重視で既存社員が不利益感じる
  • 特定属性の優遇が露骨すぎる
  • 能力・成果より属性を重視した採用・昇進

✅ 改善策

  • 公平性・透明性を重視した制度設計
  • 全社員にメリットがある制度・環境整備
  • 能力・成果を基準とした評価の徹底

❌ 失敗パターン3:「押し付けがましいD&I」

ダメな例

  • 社員の価値観・考え方を無視した強制
  • 多様性を受け入れない社員への批判・排除
  • 理想論ばかりで現実とのギャップ無視

✅ 改善策

  • 段階的な意識変革・教育アプローチ
  • 異なる意見・考え方も尊重する姿勢
  • 現実的・実現可能な目標設定・計画策定

効果測定・KPI設定

📊 D&Iブランディングの成果指標

多様性指標

【採用関連】
・多様な属性からの応募比率:_____%
・多様性を理由とした応募数:月____件  
・D&I関連質問・相談数:月____件
・多様な背景の応募者の選考通過率:_____%

【組織関連】
・社員の多様性構成比:年齢____/性別____/国籍____
・多様性関連制度の利用率:_____%
・D&I満足度調査スコア:平均____点/5点
・離職率の属性別格差:____ポイント以内

ブランド認知指標

【対外的評価】
・D&I関連の口コミ・評価投稿:月____件
・多様性重視企業としての認知度:_____%  
・業界内でのD&I先進企業評価:順位____位
・メディア・SNSでの多様性関連言及:月____件

【採用効果】
・D&Iを理由とした応募・入社:_____%
・多様な人材からの推薦・紹介:月____件
・採用単価の削減効果:前年比_____%減  
・採用プロセスでのD&I評価向上:平均____点向上

今週のアクションプラン

✅ Week1:現状把握・課題整理

□ 自社の多様性構成・制度の棚卸し □ 社員アンケート実施(D&Iに関する意識調査) □ 競合他社のD&I取り組み事例研究
□ 優先的に取り組むべき分野・課題の特定

✅ Week2:制度設計・環境整備

□ 緊急度高いD&I制度の検討・設計 □ 物理的環境の改善点洗い出し・予算確保 □ D&I推進責任者・プロジェクトチーム編成 □ 外部専門家・コンサルタントとの連携検討

✅ Week3:発信・ブランディング開始

□ D&I方針・取り組みの社内外アナウンス
□ 採用サイト・SNSでのD&Iメッセージ発信 □ 多様な社員の成功事例インタビュー実施 □ D&I関連の応募・問い合わせ対応準備

まとめ:D&Iは「制度」ではなく「文化」

D&Iの本質は、制度を整えることではなく、**「すべての人が自分らしく働ける文化」**を創ることです。

中小企業だからこそできる D&I:

  • 一人ひとりに寄り添った個別対応
  • スピード感のある制度導入・改善
  • 経営者の強いリーダーシップでの推進
  • 全社員が顔の見える関係での相互理解促進

これらを活かして、大手企業にも負けない「本当の多様性」を実現し、それを採用ブランディングの強力な武器にしていきましょう!


💡 次回予告

【第8回】AI・データ活用で効率化!採用ブランディングのDX化

AIツールやデータ分析を活用した採用活動の効率化と、デジタル時代の求職者に響くパーソナライゼーション戦略を解説。中小企業でも導入できる実用的なDXソリューションをご紹介します。

📞 今すぐアクション

社内で一番多様性に富んだチーム・部署を見つけて、そのリーダーに「多様なメンバーをまとめるコツ」を聞いてみてください! そこに、あなたの会社のD&I成功の秘訣が隠れています。


本記事シリーズでは、採用に悩む中小企業が「選ばれる企業」へ変貌を遂げるための実践的なノウハウを毎週お届けしています。次回もお楽しみに!

2025年9月11日

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